2014年12月23日火曜日

ほんのちょびっとBlenderをテスト使用した話

http://www.adventar.org/calendars/393
(Blender Advent Calendar 2014)の為の記事。

 皆さん、お元気ですか?What's going on? 

 

私は都内のポストプロダクションの片隅で
パチンコ系映像をベースにVFXまでの映像業を生業にしております。
販売業、地方CM、Webなどをやった後、
10年ほどアニメ仕事(劇場作~OVA、TV)を行い、
フリー&派遣でパチンコ系仕事をし、現在に至っております。

今回Blenderのテストを兼ねて、ほんのちょこっとだけ実戦投入したので、
その際に出てきた問題(経験)を書きます。


http://deereegirls-movie.jp/

映画は公開前(2015年)なので画像を使う事はできません。


私は普段はAftereffects(AE)&マネージメント系のお仕事をしており、
Blenderは自宅で(年賀状とか!),仕事デザイン物の一部にしか使っていませんでした。
       <デザイン物の一例>
2014/09/06に開催されたBlenderユーザー会プロダクション編1で、
皆さんが仕事で使われているのを見て、使えそうだと実感して
たまたま小規模な依頼があったので使ってみた訳です。


オーダー内容:

 「 テロップを変わった感じで見せたい、2シーンあり 」
 「 視認性が重要なのでなじませ過ぎないで欲しい(あえて違和感欲しい) 」


3DCGを使う予定ではなく急遽発注となった為、少しタイトな期間でした。
間に数回チェックバックが入るという感じです。
現場では2~3日とかも普通にあるので、
スピードと正確性、判断力、経験から来る引き出しが重要です。

技術検証&プリプロは1日目で行いました。
まず使ったことが無かったBlender Rigid Body親切な解説HPや、
海外動画を見ながら使用。
以前の解説には「ゲームモードに入って」と書かれていますが、 
現在のバージョンはその必要はありません

非常に簡単で、いける確信を得たので、
次に  Ocean と wave モディファイアを試しました。
 こちらは2シーン目想定だったのですが、制御が間に合わないと判断し、
MAYAで別な方にお願いしました。

さて、1シーン目はRigidとノイズを使ったディストーション+シェイプキーで行こうと決めました。
そしてコンポジットまでBlender内でやろうとしました。
(Blenderコンポジット機能も本格的に使うのは初めてでした)


経験1:
Rigidシュミレーションは複数台(PC)でレンダリングしたら結果が違いました。
マシン構成がまったく同じで結果が異なった為、動きOKになった時点で、
アニメーションキーにベイクしました。
(CGソフトのシュミレーションでは良くあることです)
※同じPCでも開いた時に結果が違ったりしました。 バグか何かだと思います。
そういった場合でも、ベイクする機能があったのは幸いでした。

そして、連番素材に対してトラッキングを掛けました。
今回は使用レンズ種類等は一切分からずという感じでしたが、上手くいきました。 
トラッカーはCGcompoさんのお話通り、非常に優秀でした。

トラッキング後、各軸を設定した段階で既に3Dシーンができていますが、
驚いたのが「 Setup Tracking Scene 」ボタンです。


Track Match Blend 2 - Camera Tracking<参考動画>
http://vimeo.com/105982041


ボタンポチでコンポジットノードまでできているのに驚きました。
設地影とかレンズディストーションとかレンダーレイヤーが組み込まれたノード群が生成されます。
(初めての方だと何がどうなってるかさっぱりだと思います。。)
 自動生成ノード群を流用して、人物との絡みでマスクを追加し、といった感じで
比較的簡単に目的に達しました。
コンポジットノード/Beauty/Shadow/AO/Matteを出力

経験2:
 Cycleのサンプリング数はかなり低めにして、プレビズしたところ、
そのノイズ感が素材にあるノイズ感と上手くマッチした為、あえて本番もそのまま使いました。
結果として計算コストも低く、なじみもある程度良く一石二鳥でした。



経験3
マスクツールのぼけあしに若干問題がありました。
あるフレームでマスク輪郭(アルファ値)が大きく変化して見える部分が出てしまいました。
そこについては試行錯誤したのですが、時間の都合でAE上で補正しました。
Adobe系ソフトに慣れてしまったのか、マスク制御が少し使いづらく感じました。
このへんは今後のノウハウの積み重ねかと思います。


経験4
コンポジットの段階で大きな問題が発生しました。
それはカラーコレクションの問題です。
元連番はlogフォーマット(Sony S-log)で来ており、3D LUTとしてQubeファイルが来ました。
フィニッシュまでしようとした場合、 Blender内でそのlog+Lutで完結する必要があります。

BlenderはDPX,logに対応していますが、3D LUTsに対応していない?為、
できなかったのです。(3DLut Addonを見つけたのですが2.7で正常動作せず

3D LUTsについては簡単に言うとカラープロファイルの一種です。
http://www.edipit.co.jp/3dlutcreator/ 
https://forums.unrealengine.com/showthread.php?30500-Color-Lookup-Table-Collection

劇場作品ではカラーグレーディングが行われるのが常ですので、
Lutがコンポジターで使えないのは結構痛かったです。
(※弊社では専門者がDaVinci Resolve等を使って作業しています)

そこで、カラー処理はせず Blender>Smoke>DaVinci に渡すワークフローにし、
リニアで書き出すことにしました。

トリッキーで間違いだらけですが、BlenderからEXR,TIFF,DPX(10bitLinear ノンlog)で
書き出して、Autodesk Composite(Toxik) (無料)に持ってってlogノードで変換して出したものを
Smokeに渡すというやり方です。上手くいきました.

<Autodesk Composite上でのノード等の一例>
NukeFusion、AutodeskComposite、AE 等のプロ仕様ソフトには
必ずLog 、DeLog(linear変換) 、色空間系の機能があるので、
是非 Blenderコンポジットにもつけて頂きたい と思っています。

実写撮影事情については古い記事(2012')を参考にしてください。
http://www.pronews.jp/special/1203211800.html

昨今、RAWよりLog収録が少し多くなっているようです。XAVCも少しづつ。
ガンマ注意点はS-Log(2,3)、Canon-Log、P-10Log等メーカーでカーブが違うこと。

LogについてはCanonLog等を参照下さい。
http://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/canon-log/index.html
ACESでは煩雑ではなくなるのかもしれません。

カラースペースなどは CGcompoさんこちらの記事等見て自身勉強中で、
参考にしたHPは(株)パーチさんの記事
http://area.autodesk.jp/column/trend_tech/designviz_point/41_color_management_monitor/
http://cgworld.jp/regular/cg-cms/cms005-2.html
http://www.perch-up.jp/?p=789

です。

長文お読みいただき、お疲れさまでした。



次の日はuimacさんです、よろしくどうぞ。